こんにちは。
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ありがとうございます。
今から30数年前、
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LINEも携帯も
なかったころの話である。
人々の『娯楽』は、
テレビと
ラジオと
新聞と雑誌だった時代。
わたしはまだ
小学生の少女だった。
女の子だけれど
『高校野球』というスポーツに
釘づけになり、
魅了されたのは、
あの夏、
勝ち抜いてきた
上級生のバッターを
つぎつぎと倒す
1年生のピッチャーがいて、
勝ち抜いてきた
上級生のピッチャーを
つぎつぎと倒す
1年生のバッターがいたからである。
『ここで打ってほしい』と
みんなが願うときに、
その期待を胸に
大きくホームランを放つ彼は、
あの時代を共に生きた人々の
ヒーローだった。
ふと思う。
その後18歳で
プロになり、
彼は大金を手にして
『大人』になっていった。
銀座とか
六本木とか
オネエちゃん大好きとか、
酒とか
タバコとか。
すごくビックリしたのは、
『プロ野球選手』は、
『酒』と
『タバコ』が習慣でも、
『やっていける』
ものなんだなと。
そこがなんだか
とても不思議で。
わたしは
昭和生まれの人間なので、
『王・長島伝説』とか、
『巨人の星』の話は
上の世代から
耳にタコができるくらい
聞いていた。
でもなんだか
『選手』によって、
『取り組むスタンス
っていうのが、
イロイロ違うんだな』
というのを
子供ながらに感じた記憶がある。
あれから
長い年月が経った。
気がつくと、
『高校野球が大好き』だった自分を
もう忘れてしまうほど、
わたしは年を重ねていた。
あるとき、
テレビをつけた。
『キヨマー』が
足をひきずり
泣きながら、
四国で
『お遍路』の旅をしていた。
とても驚いた。
どうして
あのとき、
『同い年』の中では、
圧倒的に
ブッチギリで
彼は『トップ』を走っていたのに、
『こんな姿』になっているのかと。
18歳から
48歳になるまで、
いったいカレに
なにがあったのかと。
『自分は弱いヤツなんです。
そこを知られたくなくて、
壁を作り、強面をよそおった』のだと。
わたしは思う。
時にわたしたち人間は、
間違った認識をすることがある。
『強い』=『良いこと』
『弱い』=『悪いこと』
なのだと。
でもよく考えてほしい、
そもそも、
『どういうこと』が
ヒトとして『強い』というのかも
あいまいだし、ナゾ。
『ケンカ』が『強い』ことを、
ヒトとして『強い』って、
言うのか?と。
『酒』が『強い』ことを、
ヒトとして『強い』って、
言うのか?と。
『弱い』って、
いったいどういうことなのかと。
大人になってわかったことがある。
わたしは
『日本人』に生まれて
とても幸運だった
『良かった』と思っているが、
その反面、
この国の社会の中で、
『日本人』を『やっていく』
というのも、
けっこう『大変なこと』なんだ
ということを。
『出る杭は打たれる』とか、
『村社会』とか。
そして、
『男』は、
『男らしく』
『強く』
ゆるがない『大黒柱』のように
あらねばならない。
『女』は、
『女らしく』
『良い妻』
『良い母』であらねばならない。
こういうのを
『固定観念』という。
『こうあらねばならない』という
『たった一つの生き方』しか
認めないという文化だ。
今は平成28年なんだけれど、
『昭和〇年の頃』の『価値観』や
『考え方』が
『正しい』のだと思い込んで
そういう『固定観念』で
ずーっと生きてきていると、
この平成の現代においては、
どーしても、
『ツライ生き方』に
なりやすかったりする。
そして、
『固定観念』にとらわれずに
生きているヒトを見つけると、
『批判』したくなるし、
『説教』したくなるし、
『愚痴』がえんえんと出てきたりする。
そして
自分自身を『固定観念』という
クサリでグルグル巻きにしているので、
次第に『息苦しくなり』
『自分を許せない』心理に
なってきたりする。
そして、
『酒』を飲まずに
いられなくなったりする。
『キヨマー』は、
すごい『野球選手』だった。
強い『バッター』だった。
負けそうなチームを
いざというときに
必ず救ってくれる、
頼れるバッターだった。
でも
『キヨマー』というヒトは、
優しくて、
寂しがり屋で、単純な
『ただのフツーの男』
だったんじゃないだろうか。
『バット』を置いて、
野球を離れた自分は、
『ただのフツーの男』でも
よかったのに
そのままでよかったのに。
そのままの自分でよかったのに。
でもそれを自分で
認めることができなかったのだろうか。
野球では『強い男』だったけれど、
『人間』として、
『強い男』を
演じる必要などなかった。
『豪快なオトコ』で
あらねばならないなんて、
『自分』で
『自分』を追い詰める必要なんて、
なかったのに。
そして、わたしは
自分自身の胸に
手を当てて
しばし考えてみる。
『良き娘』であらねばならない。
『良き妻』であらねばならない。
『良き嫁』であらねばならない。
『仕事も家庭も両立』できて、
カンペキ、
パーフェクトであらねばならない。
そうありたいと。
わたしもそうやって、
『自分を追いつめて、
責めてばかりいた』時代があった。
そして、
『できない自分』を、
『自分で嫌っていた』時代があった。
でも次第に、
『そんな自分』に
耐えられなくなって、
『酒』に手が伸びた。
酒を飲むと、
そういう
『自分を嫌う心』から解放された。
『自分ってダメだな』と思う心から解放された。
『酒は心の友』
こういうことを
よく言うオヤジがいる。
そうか
なるほど、
そのオヤジはきっと
『自分のことが許せないヒトなんだな』と。
酒を飲むと、
『自分を許せる』
『大きな気持ち』になるから、
毎晩毎晩、
飲みたくなるのだろうなと。
であれば、
酒を飲まずとも、
『今』この瞬間から、
自分を許してあげればいいのだ。
『こんな自分』だけれど
『こんなちっぽけな自分』だけれど、
『それでいいのだ』と、
受け入れてあげればいい
ただ
それだけのことだったのだ。
キヨマーが
昨夜、逮捕された。
取り返しのつかない薬物を使用して。
『一生
野球に関わって
生きて行きたかった』のであれば、
酒を飲みながら
野球指導ができる
『マンガ』のような時代は、
もうずいぶん昔に終わっていて、
『過去の栄光だけ』では
『平成では通用しない』ということを、
もっと早く気づかなければならなかった。
そして、
『酒を断ち』
自分と向き合い、
そこから一歩づつ踏み出していけば、
こんな残念な結果には
ならなかったのにと、
わたしはとても
悲しく、
残念に思うのでした。
ではまた。
自分を一番大切にできるのは
自分だけ。
一回きりの人生。
大切に生きてまいりましょう。