『そのままの自分』を許せば、酒はやめられる

 

『酒をやめることができない』のはナゼか。

コレを
『薬物だから』という
『答え』以外の方向から

今回は考えてみます。

 

なぜ、わたしたちは、
『酒をやめること』が
できなくなるのでしょうか。

これは
わたし個人の考えでありますが、

心の中に、なにか
ずーっと
『ひっかかっていること』が
あるからだと思っています。

 

例えば、
わたしの場合はこうでした。

幼いころから、
『両親』の
わたしに対する
『期待』が大きかったのです。

ああなってほしい
こうなってほしい

ああするべきだ
こうするべきだ

そして
『そういうの』を
わたしはずーっと
背負って
生きてきました。

だからわたしは、
両親の期待を
裏切らないように、

いい学校を出て、
いい会社に就職して、

両親の喜ぶ
男性と結婚して、

『幸せな家庭』を築き
両親に
孫を見せないといけない

そう思っていたのです。

がしかし、
そういうふうに
生きようとしたら、

なかなかうまく
いかなかった。

一生懸命勉強して、
ヒーヒー言いながら
就職先を探した。

そして
なんとか就職できた。

だけど
しんどくて
しんどくて
たまらなかった。

わたしは、
なんのために、
この会社で働いているのだろう
とか思った。

ああそうか
この会社で働けば、
両親が喜ぶから
だったよねと。

どんどん
しんどくなった。

あるとき、
好きなヒトと結婚した。

がしかし、
両親はカレを侮辱した。

わたしは
頭にきた。

うるせぇなー
こんなことするために
生まれてきたんじゃねーよ
とか
思い始めた。

わたしは
自分の『金遣いの荒さ』に
気づいていなかった。

これまで
知らず知らずのうちに、
ストレスをためすぎたことで、

『お金の管理をする』
ということが
できなくなっていた。

すると次第に、

『お給料安すぎ』

もらっても
もらっても足りない。

名前ばかりの会社だよね。
やってられない。

そう思い始めた。

『収入』に対して、
『支出の多い』生活を
していることに

まだ
気づけていなかった。

『やらないといけないこと』があるのに、
お金が足りないよねと。

次第に
気持ちがザワザワし始めた。

職場では
飲み会があり、

だいたいのヒトは
酒を飲むと
会社や家庭への不満を
次々と口にした。

給料が低い。
住宅ローンがたくさん残っている。

また転勤だ。
また単身赴任だ。

こずかいが少なすぎ。

聞けば聞くほど
イヤな気持ちになっていった。

この世の中には
おもしろいことなんて
なにもない
そう思うようになっていった。

わたしには
毎日の飲酒習慣があった。

酒を飲むと
自分の中で
押さえつけている
『がまん』
『怒り』の感情から

自分自身が
解き放たれるようだった。

そうこうしているうちに、
お姑さんが病に倒れた。

実家の両親は
『孫はまだか』
『孫はまだか』とうるさい。

わたしは
なんだかもう
いっぱい
いっぱいだった。

あれも
これも
それも

わたしが
『やらなきゃいけなくなった』と思った。

どうしてこうなるの?
なんでこうなるの?

そんなに
うまくいかないんだってば!

ぜんぶ
わたしに
押しつけないでよ!!

そして、
わたしは
たくさん泣いた。

どうして、
こんなことに
なってしまったんだろう。

わたしが少女時代に
見つめた
『大人の世界』は、

もっと自由で、
いろんな楽しいことが
たくさんあるように見えた。

だけど、
『そうではなかった』のだと。


 

あるとき、
キッチンで酒を飲み過ぎて、

シンクを背に、
ずるずると
座り込んでしまった。

そして
座り込んだまま
しくしく
おいおいと
声をあげて泣いた。

どうして
『わたしばっかり』
こんなにタイヘンなのよと。

ダンナが出張中の、
ひとりで過ごす夜。

 

あれから
何年かたった。

酒をやめたわたしは
ある『ひとつのこと』に
気がついた。

それは自分の中の
『ものの考え方のゆがみ』である

ぜんぶ
『自分でがんばらなくちゃいけない』
『期待にこたえなくちゃいけない』

この思考が
わたしの中に
長年、根深く、
しみついていたのだった。

わたしは
『自分』を許せなかった。

『期待通りにできない自分』を。

わたしは
『自分』で『自分』を
苦しめていたのだ。

『両親の期待が大きい』のは、
それは
『両親の勝手』であった。

『両親の期待通りの人生』を
歩まなくてもよかったのに、

家を飛び出して、
逃げ出してもよかったのに、

わたしは
『そうしなければいけない』のだと
思い込んでいた。

それで
自分自身を追い込んでしまった。

ひとりで何もかも
背負わずに、
『誰か』に相談すればよかった。

『弱音』をはけばよかった。

『いい奥さん』なんて
目指す必要もなかった。

『いいお嫁さん』なんて
ならなくてもよかった。

一生懸命
ひとりで頑張って、
ムリをしなくてもよかったのに。

チカラをぬいて、
いつも自然と
笑っていられるように

できないものは
『できない』と伝え

リキまずに、
自然体を
心がけて生きていれば

なにも
問題なかったのだと。

 

そんなに毎日
酒を飲んで、

『苦しい気持ち』を解放したり、
『悲しむ』必要はなかったのだ。

 

さあ
こよいも
『酒を飲まない夜』を過ごしています。

いいですよ
静かな夜は。

こうやって
心穏やかに
鈴虫の音色を聞きながら、
すごすことができます。

わたしは
思います。

『自分はこのままでいい』

『このままの自分でいいのだ』と

自分を許してあげたら、

酒はきっと
やめることができます。

わたしはそう
信じているのです。

それではまた!