酒と親と子供 (2)

 

~前回の記事からの続きです~

しかし、
不思議なことに、
母は、
父と一緒になって

『酒を飲め。飲まないのはヘンだ』
ということをわたしへ言い続けた。

これもまた、
今振り返ると
『DV』
『ドメスティックバイオレンス』の
ハシリだったのだと思う。

DVとは、
『漢字』で書くと
『配偶者間暴力』のことだ。

『平成』も
28年目に入ると、

昭和では
『けっこう普通にあった』光景も、
『悪いことだと』
やっと『周知』、
『認識』されるようになってきた。

誰がなんと言おうと、
ダメなものはダメなのだ。

昭和を謳歌してきたオヤジが、
『昔はよかった』と
どんなに言い張っても、

それは、
DVであり、
パワハラであり、
セクハラであり、
モラハラであり、
アルハラ、
『アルコールハラスメント』なんですよと。

わたしが初めて酒を飲んだのは、
『20歳の誕生日だった』
ということにしておこう。

こんなのは
苦くてマズイ!
と言ったら、

『飲めば慣れてくるから。
飲め、飲め』

『飲まないと、
強くなれんぞ!』
と言って笑った。

今だから思う。
『なんてことしやがったのだ』と。

『親』は『子供』を
選べないんだろうけれど、
『子供』もまた、
『親を選べない』のだ。

人間として
この地球に生まれてきて、
時に、
こういう『残念な運命』に
見舞われることがある。

酒を飲んで
『様子』が変わる親。
『言ってること』がコロコロと
変わる親。

自分の『暴言暴力』に
気づかない親。

実は『気づいている』けれど、
そんなことは
『覚えていない』という親。

わたしは
酒を飲んだら
『家庭内暴力』の域に達してしまう
会社員の父と、

それに耐え、
一緒になって酒を飲む
専業主婦の母の元で産まれ育った。

 

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外から見ると
『良い家族』
『理想的な家族』だった。

そりゃー
そうだろう。

そういうふうに
『演技』をしていたのだ。

母は、
『父が酒に酔って暴れる』ことを
『ヒトに知られたらはずかしいこと』だと、
わたしへ教えた。

暴力、暴言が始まると、
母は『窓』と『カーテン』をしめた。
そして、
『このことは誰にも言うな』と。

地獄のような一晩が明け、
なにごともなかったかのように、
翌朝からは、
『素敵な家族』のフリをする。

『父を中心とした素敵な家族』
という演技をする。

わたしは、
そうやって、
子供時代を生き延びてきた。

『酒を飲め』と
『父と母』に教えられたから、
酒を飲むようになった。

体に『耐性』がつき、
『酒』に『強く』なっていった。

そして次第に、
いくら飲んでも
酔わなくなった。

だから、
昨日よりもたくさん飲んだ。

すると、
昨日よりも今日、
今日よりも明日、

どんどん、
どんどん、
酒量が増えて行った。

『足りなくなる』ことが
恐ろしくなっていった。

もうヘロヘロなのに
『足りない』と思い、
それが耐えられなくて、

『酒臭い息』のまま、
コンビニへ買いに行ったことも
何度もあった。

そして数年前、
父の『胆のう』が
破裂した。

~この続きは次回へ~